今回は西表島の交通事情さ~ 前回(その2)はこちら
西表島の幹線道路は、島の南から東部、北部を経て西部まで伸びる、島の約半分(58km)をカバーする県道215号線である。
しかし半分だけということは、もう半分は未開の地でもある。
西表島マップ
西表では、年末、年始にかけて交通安全キャンペーンを行う。
とはいえ、道路はいつもがらがらで事故の起こるような交通事情ではないが。
なのに、なぜ交通安全キャンペーンを行っているのだろう?
島の人は制限速度(30km/hから40km/h)をよく守り、のろのろと(失礼)走っているので、よほどのことが無い限り事故にはならない。
中には制限速度以上で走る人もいるが、これはツアーの送迎車両か、内地(本州)から来た人がほとんどで、今では、残念ながら私もその一人に入ってしまった。
島で一番人口の多い上原地区 (日曜の午前11時頃)
島の人口は大よそ2000人である。
この人数から単純計算すると、仮に3人に1台所有する計算で保有台数を見てみると、約670台(観光バス、レンタカーを除く)となり、これに、レンタカー業者(約14業者ある)の263台、更に観光バス56台を加えると合計989台(特殊車両を除く)の保有台数となる。
この数は多いのか少ないか判断しにくいので、石垣島(西表より島の面積は小さい)と比べてみると、石垣島はレンタカーだけでも1000台以上ある。
つまり、西表全体の車両は石垣島のレンタカーよりも少ない。
県道を端から端まで走ると、途中に信号機が2箇所しかない。私が4月に行ったスリランカも国全体で2箇所であった。
この内、1箇所は玄関口の大原港から県道に合流した地点で、唯一信号機が必要かな?と思える場所だが、もう1箇所は北部の上原港(私の住んでいるところ)を過ぎた上原小学校の前にある。
しかし、ここの場所は車がほとんど通らない場所で、信号機の必要性はほとんどない。では、なぜ信号機があるかというと、小学生に信号を体験させるために設置されたらしい。
このような状況でも、ちゃんと交通安全キャンペーンは行われる。
県道を車で走ると、地域によって茶色のバーコード状のスリップ防止帯(ゼブラゾーン)が頻繁に設けられている場所に遭遇する。 内地ではスリップ防止というよりはローリング族対策と目的が異なる場合もあるが。
しかも、カーブではない直線でも数多く設けられている。
このゾーンを通過すると、車がバタバタ、ガタガタと振動してとても不愉快である。
多くの場所に設けられたゼブラゾーン
私は、島に来て間もないころ、なぜ直線のスリップしそうも無いところにも頻繁に設けられているのか?と、島の人に聞いてみたことがある。
すると、これは人間様のためではなく、イリオモテヤマネコが事故に合わないためのものであるということ。
つまり、イリオモテヤマネコが生息していると思われる地域に多く設けられており、このバタバタ、ガタガタという音でヤマネコを脅かして道路に出てこないようにしたものである。イリオモテヤマネコが交通事故に合わないように配慮されたものである。
交通安全週間に各家庭や事業場に配られるステッカー
ヤマネコ注意の標識
西表は島全体が国立公園に指定されており、その中でも世界で西表にだけしか生息しないイリオモテヤマネコが国の特別天然記念物の指定されており、厳重な体制の元に保護されている。
イリオモテヤマネコは現在の推定では100頭ぐらいとされ、15年前に比べて約10頭前後減少し、この大部分は交通事故死によるものということである。
万が一事故が発生したときに対応するため、イリオモテヤマネコのために生物保護センターや動物診療所が設けられており、これらは24時間体制で運営されている。
西表では人間に対する病院はなく、お粗末な診療所が1箇所あるのみだが「ヤマネコ様」には立派な施設とスタッフが用意されているのだ!
イリオモテヤマネコと同じ国の特別天然記念物に指定されているカンムリワシも、最近では森で獲物を取るよりは道路で車に引かれた小動物(ねずみやかえる、へび等)を捕った方が簡単で楽であるということを学習してしまったので、この楽な方を選んだことにより交通事故に合うようになった。
我が工場横に飛来したカンムリワシ
昨年末に、石垣島でも車に跳ねられたカンムリワシが手当され、リハビリも済んで野生に戻すと地元のテレビで放映されるほど大々的に扱われていた。
最近は、人間が交通事故に合い怪我したぐらいではめったにテレビ放映されることはなくなった。
正月に工場前の道路にシロハラクイナが死んでいた。車に跳ねられたのである。
また、その前にはハブが車に引かれて死んでいたのも見た(ハブは逆に歓迎される?)。
白腹クイナの屍骸 白腹クイナ
東洋のガラパゴスといわれる自然豊かな島であっても、年々車の数は増えてきている。
私なども、道路が空いているとついついスピードを出して、時々珍しそうな蝶にぶつかってしまうことがある。後になって、あれは希少品種ではないか?と反省することも多い。
4月以降は西表にも観光客が増え、シーズンになると人口の4~5倍に膨れるという。
このため、レンタカーもフル稼働の状態となり、島の稼ぎ時のシーズンを迎える。
すると、西表に生息する小動物が車にひかれる割合も大変多くなる。
なぜ、交通安全キャンペーンをこの時期に合わせないのか未だに不思議である。
西表は観光で経済の成り立っている島であるから観光客はウエルカムであるが、島の自然を守り、さらに小動物類をいかに車から守るかは島の抱える大きな課題でもある。
皆さんは西表に来る機会があったときは、よくルールを守ってくださいネ!
お願いしますヨ~
by Terasaki 前回(その2)はこちら